日当山温泉は、鹿児島県に位置する温泉群です。この温泉は、鹿児島県内で最も古い温泉の一つであり、霧島市の国分平野北西部から中部にかけて広がる温泉地帯の総称です。古くから多くの湯治客に親しまれており、西郷隆盛が頻繁に訪れたことでも知られています。
日当山温泉は、霧島市隼人町を中心に散在している温泉地で、「隼人温泉」とも呼ばれています。狭義には、隼人町東郷から隼人町内にかけての天降川と国道223号に挟まれた約500mの区域を指しますが、広義には姫城温泉や国分温泉などを含む場合もあります。これらの温泉は、いずれも美しい自然に囲まれた静かな場所にあり、リラックスしたひとときを過ごすことができます。
木房温泉（西郷どん湯）
木房温泉は、1825年（文政8年）に発見された炭酸水素塩泉で、湧出温度は42℃です。この温泉は西郷隆盛が浸かったことでも有名で、歴史的な温泉としても知られています。
東郷温泉（しゅじゅどん温泉）
1885年（明治18年）に鶴丸八兵衛によって発見された単純泉で、湧出温度は44℃です。しゅじゅどんという名前は、江戸時代初期に日当山の地頭を勤めた徳田大兵衛の愛称であり、地元住民の間で数々の逸話が伝えられています。
日当山温泉は、鹿児島の奥座敷として古くから栄え、多くの共同浴場が残されています。温泉街の南西部には、ヒルコ伝説に由来する蛭児神社や、西郷隆盛が宿泊していた宿を復元した「西郷どんの宿」など、歴史的なスポットも点在しています。
日当山温泉の歴史は非常に古く、神代まで遡るとされています。伝説では、イザナギとイザナミの神々が、足の立たない蛭子命をこの地に送り、療養させたとされています。温泉は古くから牛馬の治療や住民の足湯として利用されていたと伝えられますが、記録に残るのは1825年（文政8年）からです。
当初、湯壺は地面を掘り下げた地下に設置されていましたが、1899年（明治32年）に古河八郎左衛門が水車を使って湯を揚げる方法を導入し、利用がより容易になりました。これにより、多くの湯治客が訪れるようになり、温泉地として栄えました。1927年（昭和2年）に発生した洪水では大きな被害を受けましたが、翌年には復旧しています。さらに、1967年（昭和42年）には隼人・新川渓谷温泉郷の一部として国民保養温泉地に指定されました。
日当山温泉へのアクセス方法は以下の通りです。
日豊本線隼人駅で下車し、バスで10分ほど。または肥薩線の日当山駅で下車し、徒歩5分です。
鹿児島中央駅や天文館から、いわさきバスネットワークのバスで約1時間20分。日当山バス停で下車します。
九州自動車道溝辺鹿児島空港ICからは車で約15分です。
鹿児島空港からはバスで15分。日当山温泉へアクセスできる路線があります。
広義の日当山温泉として、以下の温泉も含まれることがあります。
清姫温泉
清姫温泉は、天降川を挟んで日当山温泉の北西部に位置し、湧出温度は47〜58℃です。この温泉は1293年（永仁元年）に発見されたとされる石碑が残っています。現在使用されている泉源は1915年（大正4年）に掘削されたものです。
姫城温泉
姫城温泉は、天降川を挟んで日当山温泉の南西部に位置する温泉群です。1934年（昭和9年）に開発され、当時は清水温泉と呼ばれていました。霧島市の中心街に近く、家族湯が多く設置されています。
国分温泉
国分温泉は、霧島市国分地区（旧国分市）周辺に点在する温泉群です。1950年代前半から本格的に開発され、深さ400〜1000mの地下から温泉が汲み上げられています。温泉の種類は炭酸水素塩泉や単純泉が中心ですが、海岸近くでは塩化物泉になることもあります。
日当山温泉は、古い歴史を持つ鹿児島県を代表する温泉地であり、西郷隆盛も愛した場所として多くの人々に親しまれています。自然豊かな環境の中で、心身ともに癒されるひとときを過ごすことができる温泉地です。また、交通アクセスも良好で、気軽に訪れることができる魅力的なスポットです。