尚古集成館は、鹿児島県鹿児島市吉野町に位置する歴史的な博物館です。この博物館は、薩摩藩第28代当主である島津斉彬が始めた「集成館事業」の一環として建設されました。1923年5月22日に開館し、現在では島津興業が運営しています。館内では、島津家にまつわる歴史的資料や美しい薩摩切子、薩摩焼といった貴重な文化財が展示されています。
尚古集成館の本館は、1865年に建設された建物で、これは日本で最も古い洋風工場建築物の一つです。特に、この建物は日本で初めてアーチを取り入れた石造りの洋風建築としても知られています。本館は、金属加工を行う「集成館機械工場」として建設されました。そのため、外観は西洋風のデザインを持ち、「ストーンホーム」とも呼ばれていましたが、建設に使われた溶結凝灰岩は薩摩の建築物に広く見られる材料であり、日本的な特徴も兼ね備えています。
尚古集成館はまた、2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の一部として世界文化遺産に登録され、その歴史的価値が国際的にも認められています。建物は1927年に国の重要文化財に指定され、1959年には敷地が国の史跡に指定されました。さらに、1962年には「重要文化財 旧集成館機械工場」として正式に認定されました。
尚古集成館の展示室は、大きく分けて本館と別館に分かれています。本館では、集成館事業に関する展示が行われており、特に反射炉の模型やその時代の技術を伝える展示品が常設されています。別館では企画展示が主に行われており、さまざまなテーマに基づいた展示が定期的に更新されています。
展示されている資料は約1万点にも及び、その中には江戸時代に作られた美しい薩摩切子、日本最古の銀板写真の複製、工場として稼働していた当時の機械、さらには島津家に伝わる貴重な品々が含まれています。これらの展示を通じて、訪れる人々は島津家の歴史や、薩摩藩が進めた近代化の取り組みを深く学ぶことができます。
尚古集成館は、多くの重要文化財を所蔵しており、その中でも特に注目されるのが以下のものです:
尚古集成館の建物は、その歴史的価値から重要文化財として指定されています。特に本館は、金属加工の工場として使われていた背景があり、そのための機械や道具が展示されています。例えば、1863年にオランダから輸入された「形削盤」や、島津家の近代化事業に関連する数多くの機械が展示されており、訪れる人々にその時代の技術水準を伝えています。
尚古集成館は、鹿児島市の中心部から車で約20分の距離に位置しています。隣接する仙巌園も、観光名所として非常に人気が高く、合わせて訪れることをお勧めします。また、館内には所蔵品に関する書籍や、薩摩切子をモチーフにしたオリジナルグッズが販売されているショップもあり、訪れた記念にお土産を購入することができます。
尚古集成館は、島津家や薩摩藩の歴史、そして日本の近代化において重要な役割を果たした集成館事業に焦点を当てた博物館です。日本最古の洋風工場建築物としての歴史的価値も高く、多くの貴重な文化財を収蔵・展示しています。鹿児島を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってその歴史に触れてみてください。
9:00~17:00
年中無休
大人(高校生以上)1,000円
小・中学生 500円
(仙巌園と共通)
鹿児島中央駅からカゴシマシティビューで約50分「仙巌園前」下車
鹿児島中央駅から車で約20分