鹿児島市立美術館は、鹿児島県鹿児島市城山町に位置する、鹿児島市が運営する美術館です。この美術館は、主に近代洋画を中心に展示されており、鹿児島の文化ゾーン内にあるため、周辺には多くの文化施設が集まっています。例えば、西郷隆盛の銅像や鹿児島県立博物館、鹿児島県立図書館、鹿児島県歴史資料センター黎明館などがあります。
現在の美術館がある敷地は、かつて島津氏の居城であった鶴丸城の二の丸がありました。1892年(明治25年)から1937年(昭和12年)までは鹿児島市役所の市庁舎が置かれていましたが、その後、1939年(昭和14年)にはこの市庁舎を再利用し、歴史館が開館しました。
黒田清輝が亡くなった際、彼の弟子たちは黒田を顕彰するための記念館を作る運動を開始し、1939年に黒田顕彰会が発足しました。その後、戦中の1942年ごろ、黒田の妻である照子が彼の代表作「アトリエ」を鹿児島市に寄贈しました。さらに照子は、1889年に描かれた黒田の自画像も鹿児島市に寄贈しています。
第二次世界大戦中、歴史館は屋根が焼け落ちましたが、外壁は残りました。その後、補修と改修を経て、1954年(昭和29年)に鹿児島市立美術館として再開館しました。この美術館は鹿児島県初の公立美術館であり、九州では最も歴史のある公立美術館でもあります。
鹿児島市立美術館の開館を記念して、黒田記念室が設けられ、黒田清輝の展覧会には約3万7千人もの来場者がありました。また、鹿児島出身の画家たちも自身の作品を次々と寄贈しています。藤島武二は「美術館ができるなら寄贈する」という遺言に基づき遺族から作品が寄贈され、和田英作も同様に自身の作品を寄贈しています。
1982年(昭和57年)、28年間の歴史を持つ旧美術館は閉館し、新たな美術館の建設が始まりました。そして1985年(昭和60年)に新たに建て直された鹿児島市立美術館が完成しました。この新美術館は、桜島の火山灰による降灰対策として、屋根に散水設備やダスト・シュートを備えています。また、1986年(昭和61年)には第27回・BCS賞を受賞しました。
鹿児島市立美術館は約4500点の収蔵美術品を所蔵しており、これには西郷隆盛にまつわる品々や彼の自作の下駄も含まれます。特に、近代洋画の父とされる黒田清輝の作品や、鹿児島県出身の画家たちの日本近代洋画が展示されています。常設展では、これらの作品を含め、油彩画が約740点展示されています。
鹿児島市立美術館には以下のような展示施設があります:
美術館の敷地内には、ブールデル作の「サッフォー」や、ロダン作の「ユスタッシュ・ド・サン=ピエール」などの彫刻作品が展示されています。
鹿児島市立美術館の正面玄関を入ると、天井には薩摩切子の柄が施されたデザインが特徴的です。この美術館の設計は、佐藤武夫設計事務所と川元建築設計事務所が担当し、1985年(昭和60年)3月30日に竣工しました。鉄筋コンクリート造の地上3階、地下1階の建物で、耐久性と美観を兼ね備えた構造になっています。
鹿児島市立美術館は、黒田清輝が描いた「桜島爆発図」など、鹿児島市指定の有形文化財を所蔵しています。また、島津亀寿にちなむ「じめさあ」と呼ばれる石像も敷地内に設置されています。
美術館の所在地は以下の通りです:
〒892-0853 鹿児島市城山町4号36番
鹿児島市立美術館へは、さまざまな公共交通機関でアクセスが可能です。