魚のすり身と野菜を使った揚げ物料理。琉球に魚肉のすり身で作るチキアギという揚げ物料理があり、この料理が薩摩に伝わったのがつけあげの発祥といわれる。鹿児島県でよく食されていることから、「さつまあげ」と呼ばれることも多い。魚のすり身に使われるのはイワシやトビウオ、エソなどの脂肪分の少ない白身魚。使う野菜はさつまいもやにんじん、ごぼうなど。現在では鹿児島県を代表する郷土料理として、全国各地で食すことができる。
薩摩揚げは、魚肉のすり身を成型し、油で揚げた食べ物です。魚肉練り製品であり、「揚げかまぼこ」に分類されます。
地域による呼び方
- 東日本: さつま揚げ
- 西日本: 天ぷら
- 鹿児島: つけ揚げ(衣をつけずに素揚げする点が通常の天ぷらとは異なります)
「つけあげ」は、他県では“さつまあげ”や“てんぷら”、“揚げかまぼこ”などと呼ばれています。江戸時代に薩摩藩28代当主・島津斉彬が、紀州のはんぺんやかまぼこにヒントを得て、高温多湿の鹿児島県の気候に合わせて保存性を高めるために揚げ物にしたという説や、琉球料理の揚げかまぼこである“チキアーギ”がなまって「つけあげ」になったという説があります。
つけあげは、魚のすり身に豆腐や鹿児島県特有の地酒を混ぜ、油で揚げて作られます。主な原材料の魚はアジ、サバ、トビウオで、上質なものとしてはエソやハモ、グチなども使われます。鹿児島県の「つけあげ」は、砂糖を入れて甘口に仕上げるのが特徴です。
地酒と「つけあげ」
つけあげに使う地酒は、鹿児島県の郷土料理「酒ずし」にも使われるもので、清酒を作る過程のもろみに灰汁を加えて絞った酒です。この酒は黒酒または灰持酒(あくもちざけ)とも呼ばれ、みりんの代わりに使ったり、おとそとしても飲まれています。温暖な鹿児島県では一般的な清酒づくりが適さず、代わりに黒酒(灰持酒)の製造が盛んになりました。火入れをしないためアミノ酸が豊富に残り、「つけあげ」の魚の旨味を引き出してくれます。
作り方
魚肉のすり身に塩・砂糖などで味付けし、整形して油で揚げます。形は丸形や角形など様々でイカ、ゆで卵などの素材を包み込んだものもあります。
人参やゴボウ、れんこんなど好みの野菜を入れると、また違った食感や味わいが楽しめます。
1. フードプロセッサーで魚の身をすりつぶします。
2. 水切りした豆腐、卵、薩摩芋でんぷん、砂糖、地酒の灰持酒を加えてさらにすります。
3. 最後に塩を加えて全体が馴染んだら、棒状や角型、小判型などに成形します。
4. 160℃くらいの油で表面が黄金色になるまで揚げます。
材料
水産地では地元で多く取れる魚を材料とすることが多く、イワシ、サメ、カツオ、サバ、ホッケなどが使用されます。ほとんどの場合、2種類以上の魚を混ぜて使います。すり身のみで作られたものや、キクラゲ、紅しょうが、玉ねぎ、ネギなどの野菜、じゃこ、イカ、タコ、エビなどの魚介類を入れたもの、薬味を加えたものなどもあります。
人参やごぼう、れんこんなど好みの野菜を入れると、また違った食感や味わいが楽しめます。
食べ方
そのまま食べるほか、軽く焼いてショウガ醤油やからし醤油をつけて食べることが多いです。また、おでん種、うどんの具、皿うどんの具、煮物の材料などにも用いられます。
特に時期を問わず、年間を通してよく食べられています。おかずの一品としてのほか、酒の肴としても好まれています。また、野菜炒めや卵とじの具材など、幅広く使われる食材です。
主な伝承地域:県内全域
主な使用食材:魚のすり身、木綿豆腐、地酒、砂糖、薩摩芋でんぷん