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げたんは

黒砂糖の蜜をたっぷり吸ったおいしい「下駄の歯」

黒砂糖を使った駄菓子で、昭和12年に創業の「南海堂 菓子店」で製造している、生地にたっぷり黒糖蜜を浸した、黒糖蜜の上品な甘さとしっとりとした食感の郷土菓子。

「下駄の歯」がその名の由来。黒くて台形をしたもともとのフォルムが、泥のついた下駄の歯と似ていたからだという。九州物産展などでよく見かける、鹿児島の伝統菓子だ。九州産小麦粉、黒砂糖、鶏卵を主原料にして生地を作り、この生地を板状に延ばし焼き上げ、台形に切断し、それを黒砂糖の蜜の中に漬け込み、そのままパック包装。蜜を吸った生地はしっとり柔らか。手づかみでパくっと食べると黒砂糖の甘く芳ばしい風味が口に広がる。ボリュームたっぷりで、価格もお手頃だ。誰にでも好まれる味だからお土産に迷ったらぜひ。

「げたんは」は、かつて米の集荷地であった横川町(現・霧島市)で、集まる人々をもてなすためのお茶うけとして作られた鹿児島の郷土菓子です。この名前は、泥に汚れた下駄の歯に似た見た目から付けられたという説があります。また、当時は「三角菓子」とも呼ばれていました。

濃厚な黒糖の風味が広がる「げたんは」は、生地にも周りのコーティングにも黒糖が贅沢に使われています。鹿児島県で黒糖が甘味料として根付いたのは、江戸時代に薩摩藩が琉球王国や奄美地域のさとうきび栽培や黒砂糖製造を独占し、これを財源にしたことが背景にあります。

薩摩藩は黒糖を年貢として徴収し、財政を回復させましたが、島民は黒糖生産を優先せざるを得ず、食糧生産が困難になる「黒糖地獄」と呼ばれる過酷な状況を生み出しました。この歴史を経て、鹿児島本土でも黒糖が浸透し、黒糖を使った郷土料理が誕生しました。「げたんは」もこのような背景から生まれ、庶民に親しまれてきました。

作り方
1. 小麦粉と重曹を合わせた粉の中に、水で溶かした黒糖を入れてよく混ぜます。
2. オーブンの天板に生地を広げ、20分程度焼きます。
3. 取り出して粗熱をとったら二等辺三角形になるように切ります。
4. 切った生地を黒糖の蜜にくぐらせます。

表面は黒糖の蜜のシャリッとした食感で、中はしっかりとした生地に黒糖の蜜が染み込んでいきます。表面の黒糖は乾燥させず、しっとりとさせるのがポイントです。

横川町の「げたんは」は、かつての賑わいが失われると共に徐々に作られなくなり、数十年途絶えていました。しかし、2000年に地元の食生活改善推進員が再現し、再び郷土菓子としての地位を確立しました。現在では特に時期を問わず、年間を通しておやつとして食べられています。道の駅や食料品店で市販品を購入できるほか、「げたんは」づくりが体験できる料理教室やイベントも開催されています。

主な伝承地域:県内全域
主な使用食材:薄力粉、重曹、黒糖

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げたんは
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