吹上浜は、鹿児島県西部のいちき串木野市・日置市・南さつま市にまたがる砂丘海岸です。この地域は、日本三大砂丘の一つとして知られており、日本の渚百選にも選定されています。薩摩半島西岸に位置し、東シナ海に面するこの地域は、1953年に県立自然公園に指定されました。また、南部には吹上浜海浜公園があり、1987年から毎年「吹上浜砂の祭典」が開催されています。
吹上浜は、鹿児島県西部の羽島崎(いちき串木野市)から相星川(南さつま市)にかけての東シナ海沿岸に広がる、全長約47キロメートルの弧状の砂丘海岸です。この砂丘は、いちき串木野市、日置市、南さつま市の3市にまたがり、南北に広がっています。
吹上浜の北部は狭い砂浜が続き、海岸付近までシラス台地の崖が迫っています。一方、南部では広大な砂丘が広がり、内陸部には砂丘によって海から切り離された薩摩湖や正円池などの海跡湖が点在しています。また、南部の万之瀬川河口周辺には広大な干潟が広がっています。
吹上浜が長大な砂浜となった要因の一つとして、薩摩半島北部に浸食されやすいシラスが大量に分布していることが挙げられます。北部および中部では海岸の浸食が進行し、南部では堆積が進むことで、現在のような長い弓形の海岸線が維持されています。南部の砂丘は、縄文海進の時代に形成された旧期砂丘と、弥生時代以降にその上に堆積した新期砂丘に分かれます。新期砂丘の形成には、新田開発による土砂の流出が関与していると考えられています。
吹上浜砂の祭典(ふきあげはますなのさいてん)は、鹿児島県南さつま市の吹上浜で開催されている、日本で最も長い歴史を持つ「砂のイベント」です。イメージキャラクターは「サンディー君」で、砂像展示のほか、花園、花火大会、物産展など、さまざまなイベントが行われています。
この祭典は1987年に当時の加世田市で初めて開催されました。2005年の市町村合併後も、旧加世田市域で引き続き開催されましたが、2011年には旧金峰町域に会場を移しています。第一回のテーマは「世界の名城・寺院・日本の代表建築物」で、16基の砂像が製作されました。この祭典は、毎年テーマを変えながら発展を続け、砂像の数や入場者数も増加していきました。
吹上浜砂の祭典では、国内外の著名な砂像作家たちが作品を制作しており、その中には茶圓勝彦、保坂俊彦、ウィルフレッド・スティガー、レオナルド・ウゴリニなどが含まれます。これらの作家たちによって、毎年異なるテーマに基づいた見事な砂像が制作され、多くの観客を魅了しています。
近年の祭典では、「時代を拓いた冒険者たち」(2007年)、「時代に導かれたヒロイン」(2008年)、「世界遺産・文明を巡る旅」(2010年)など、時代や文化を反映したテーマが採用され、さらに多くの観光客が訪れるようになりました。これにより、吹上浜砂の祭典は鹿児島県を代表する観光イベントの一つとなり、その魅力は国内外に広く知られるようになりました。
吹上浜は、その美しい砂丘と壮大な自然環境に加え、毎年開催される「吹上浜砂の祭典」により、鹿児島県の観光名所としての地位を確立しています。この地域を訪れることで、自然の力と人々の創造力が織り成す美しい風景と、イベントの熱気を体感することができるでしょう。