誰もが知ってるボンタンアメ、これも鹿児島銘菓のひとつ。大正15年生まれで、そのパッケージは今も昔も変わらない。水飴、砂糖、麦芽糖、もち米などの原料はすべて植物性。特にもち米は佐賀・熊本産のヒヨクモチを、自社工場で精米・研米・製粉して一晩冷水にに浸したものを、蒸気釜で約2時間半じっくり練り上げて作る。南九州の特産果実、ボンタンの甘酸っぱく爽やかな風味とあのもちもちと柔らかな食感はこうして生まれたもの。オブラートの包みごと口に入れられるのも特長。土産店では6箱入りなど箱詰めされたものもある。
ボンタンアメは、鹿児島県鹿児島市に本社を置く1873年(明治6年)に創業したセイカ食品が、1925年(大正14年)から製造・販売している超ロングセラーの飴菓子。キャラメルのようなモチモチした独自の食感と、ほんのりと香るボンタン(文旦、ザボン)の風味が特徴です。
この飴は、餅に水飴を練り込み、鹿児島県阿久根市産のボンタンを添加した求肥飴です。包み紙には馬鈴薯や甘藷のデンプンでできた軟質オブラートが使用されています。
ボンタンアメの開発は、セイカ食品の前身である鹿児島菓子の時代に水飴製造業を営んでいて、工場で作った朝鮮飴(熊本では今も売られている郷土菓子 求肥)を工場の社員がハサミで細かく切り、遊んでいたのを創業者が見てヒントを得ました。キャラメルと同じ形態で着香・着色して発売されました。
原材料と製法
ボンタンアメの主要原料は、佐賀県や熊本県産のヒヨクモチを使ったもち米です。工場で精米、研米、製粉され、一晩冷水に浸して寒ざらしにしたものを使用します。その他の主原料には、水飴、砂糖、麦芽糖です。
さらに阿久根産の文旦から抽出したエキス(ボンタンオイル)、いちき串木野市周辺のサワーポメロ果汁、九州産の温州みかん果汁が、甘酸っぱくさわやかな風味を醸し出します。これら全てが国産の植物性原料です。
もち米は精米、研米、製粉され、一晩10度以下の冷水に浸した後、大きな蒸気釜で約2時間半じっくりと温めながら練り上げます。もちもちした食感を出すための火から外すタイミングが重要で、この加熱具合を見極められるのは限られた熟練の職人たちだけです。職人たちは機械での水分チェックだけでなく、手の感覚を頼りに固まり具合を確認します。
完成したもちもちとやわらかく、弾力のある食感の飴は、上階の釜から重力を利用して冷却用レーンに落とされます。冷やし固めた飴のシートをローラーで厚さ15mmの平らな板状に延ばし、サイコロ状に切断してオブラートに包みます。このように手間暇かけた工程を経て、1日約80万粒が製造・出荷されます。
変わらぬ製法と品質
夏場の高温でも溶けないように品質改良や、時代に合わせて甘さを控えめにするために砂糖と水の配分を変え、温州みかん果汁を加えました。しかし、製法や原料はほとんど変わらず、現在のレシピもほぼ開発当時のままです。
ボンタンアメは、米粉の性質により硬化しやすいですが、デンプンに対して糖分の比率が高く、通常の求肥よりも日持ちします。もち米を使用しているため、粘り気が強くそのまま詰めると飴同士がくっついたり、包み紙にくっついて剥がせなくなるため、オブラートに包まれています。