石橋記念公園は、鹿児島県鹿児島市浜町に位置する県立公園です。この公園は、江戸時代後期に島津重豪の命令で市内を流れる甲突川に架けられた「五石橋」のうち、3つの橋を移設して作られました。移設された橋は「玉江橋(たまえばし)」「高麗橋(こうらいばし)」「西田橋(にしだばし)」で、これらの石橋を中心に公園が整備され、博物館も併設されています。
石橋記念公園は、甲突川の歴史的な石橋を保存するために設立された都市公園です。公園内には石橋の歴史や技術に関する展示が行われているほか、橋を造った肥後の名石工・岩永三五郎の像も建てられています。2008年の大河ドラマ「篤姫」のロケ地としても知られ、多くの観光客が訪れる場所となっています。また、公園は稲荷川の河口に位置し、国道10号鹿児島北バイパスに面しているため、アクセスも便利です。
石橋記念公園の設立の背景には、1993年(平成5年)8月6日に発生した「鹿児島県集中豪雨(8・6水害)」による洪水があります。この洪水で、甲突川に架かっていた五石橋の一部が甚大な被害を受け、「武之橋(たけのはし)」と「新上橋(しんかんばし)」は流失しました。また、残りの3つの橋も大きな被害を受けたため、その後の保存・修復が問題となりました。
最終的には洪水の危険がない場所に移築することが決定され、2000年(平成12年)4月25日に石橋記念公園として開園しました。この移築問題は、交通や河川整備と歴史的遺産の保護をどう両立させるかという難しい課題を浮き彫りにしました。
石橋記念公園の入口に最も近い場所にあるのが「西田橋」(にしだばし)です。この橋は、鹿児島城に最も近い場所に架けられていたため、参勤交代で藩主が利用する重要な橋でした。そのため、五石橋の中でも最も多くの費用がかけられて建設されました。現在もその風格を感じさせる姿を保っています。
「高麗橋」(こうらいばし)は、かつて加治屋町と高麗町を結んでいた橋で、下級藩士たちが多く住んでいたエリアに架けられていました。幕末には倒幕運動に参加した多くの志士たちがこの橋を渡ったと言われています。現在もその歴史的な価値を感じることができる場所です。また、高麗橋の袂には、五石橋を造った石工・岩永三五郎の像が設置されています。
「玉江橋」(たまえばし)は、五石橋の中でも最も建築当時の姿を残していると言われています。この橋はかつて甲突川の山側に架けられていましたが、現在は海岸側に移築されています。移築された場所でもその優雅な姿を保ち、多くの観光客が訪れるスポットとなっています。
「五石橋」とは、甲突川に架かっていた「玉江橋」「高麗橋」「西田橋」「新上橋」「武之橋」の5つの石橋の総称です。これらの石橋は、江戸時代後期に島津重豪の命令で築かれ、鹿児島市内の重要な交通路として利用されていました。しかし、1993年の豪雨による洪水で2つの橋が流失し、残りの3つの橋も大きな被害を受けました。そのため、保存のために移築が行われ、現在では石橋記念公園内でその姿を見ることができます。
石橋記念公園内には「石橋記念館」も併設されています。この記念館では、五石橋に関する歴史的な資料や写真が展示されており、石橋の技術やその背景にある島津家の歴史について学ぶことができます。また、橋を築いた岩永三五郎の功績についても詳しく知ることができるため、歴史好きには必見のスポットです。
石橋記念公園は、歴史的な石橋を間近で見ることができるだけでなく、周囲の自然環境も楽しめるスポットです。稲荷川の清流や豊かな緑に囲まれた公園内を散策しながら、歴史の息吹を感じることができます。また、近くにはかつて島津斉彬の命により築かれた「祇園之洲砲台」もあり、歴史散策を楽しむことができます。
石橋記念公園は、鹿児島市内の中心部から車で約15分、公共交通機関でもアクセス可能です。国道10号線に面しており、観光や歴史散策のついでに訪れるのに便利な立地となっています。また、公園内には駐車場も完備されているため、車での訪問も容易です。
石橋記念公園は、江戸時代後期の石橋を保存し、その歴史的価値を伝える場所として、多くの人々に親しまれています。甲突川の五石橋の歴史を学びながら、美しい石橋を眺めることができるこの公園は、鹿児島市を訪れる際にはぜひ足を運んでいただきたいスポットです。公園内の自然や歴史的な建造物を楽しみながら、ゆったりとしたひとときを過ごすことができるでしょう。