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高千穂河原

(たかちほ がわら)

高千穂河原は、鹿児島県霧島市に位置する霧島山の中岳と御鉢の谷間にある地域です。この地名は古くは「瀬多尾越(せたおごえ)」と呼ばれていました。中世にはこの場所に霧島神宮が鎮座していましたが、御鉢の噴火による焼失後、現在は古宮址(ふるみやあと)としてその跡が残されています。

古宮址の歴史

霧島神宮は、かつて高千穂峰と御鉢の間の「瀬多尾」にありましたが、噴火による度重なる焼失に見舞われました。延暦7年(788年)7月の御鉢の噴火で焼失した後、天暦年間に性空(しょうくう)によって現在の高千穂河原に再興されました。しかし、1234年1月18日(文暦元年12月28日)の御鉢の噴火により再び焼失してしまいました。その後、霧島神宮は別の場所に再建され、高千穂河原には古宮址として社殿の跡地が残されました。

高千穂河原の地理と登山

登山拠点としての高千穂河原

高千穂河原は霧島山の御鉢や高千穂峰への登山の拠点として知られています。この地域には高千穂河原登山口があり、そこから霧島山の主要な登山道が伸びています。高千穂河原は霧島錦江湾国立公園(霧島地域)内に位置しており、自然豊かな環境の中で登山を楽しむことができます。

自然公園法による保護区域

高千穂河原登山口から御鉢火口への道は、自然公園法に基づき、第2種特別地域として鹿児島県が管理しています。一方、御鉢火口から高千穂峰山頂までの区間は、特別保護地区として環境省が管理しています。これにより、地域の自然環境が厳重に保護されており、訪れる人々は美しい景観を楽しむことができます。

高千穂河原の観光施設

高千穂河原ビジターセンター

高千穂河原には、1984年(昭和59年)に鹿児島県が開設した高千穂河原ビジターセンターがあります。このビジターセンターは、訪れる観光客に霧島山の自然や歴史についての情報を提供しています。運営は高千穂河原ビジターセンター運営協議会に委託され、さらに一般財団法人自然公園財団に再委託されています。2022年(令和4年)8月5日にはリニューアルオープンし、より充実した施設となりました。

ミヤマキリシマ群生地とキャンプ場

高千穂河原周辺には、ミヤマキリシマの群生地である鹿ケ原(しかがはら)を巡る散策路が整備されています。これにより、季節ごとに美しい花々を楽しむことができ、自然散策が人気を集めています。また、キャンプ場も整備されており、アウトドア活動を楽しむ人々にとって絶好のロケーションです。

天孫降臨神籬斎場と御神火祭

天孫降臨神籬斎場の歴史

かつて霧島神宮があった場所は、現在「古宮址」として知られています。この場所には1940年(昭和15年)、皇紀2600年記念事業の一環として天孫降臨神籬斎場が設けられました。霧島山の観光拠点の一つとして、1958年(昭和33年)に駐車場も整備され、多くの観光客が訪れる場所となりました。

天孫降臨御神火祭

毎年11月10日には、天孫降臨御神火祭が古宮址で開催されます。この祭りは、天孫であるニニギノミコトが高千穂峰に降臨した際に、猿田毘古神(さるたびこのかみ)が火を焚いて迎えたという伝承に由来しています。祭りの際には、祭壇前で御神火が焚かれ、神職らが大祓(おおはらえ)の言葉を唱えながら、祈願札を火にくべます。さらに、天孫降臨九面太鼓が奉納され、荘厳な雰囲気が漂います。

高千穂河原の現代史

皇太子夫妻の訪問

1962年(昭和37年)5月6日には、当時の皇太子明仁親王と皇太子妃美智子が高千穂河原を訪れました。この訪問には、周辺住民や観光客など6000人余りが集まり、盛大に歓迎されました。この出来事は、高千穂河原が歴史的にも文化的にも重要な場所であることを示しています。

所在地

所在地: 鹿児島県霧島市霧島田口2583-12(高千穂ビジターセンター)

Information

名称
高千穂河原
(たかちほ がわら)

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