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開聞岳

(かいもんだけ)

日本百名山と「薩摩富士」の名を持つ美しい火山

開聞岳は、標高924メートルの円錐形の美しい火山であり、日本百名山の一つとしても知られています。その美しい形から「薩摩富士」とも呼ばれ、鹿児島県薩摩半島の南端に位置しています。所在地は鹿児島県指宿市で、山麓の北東半分は陸地、南西半分は海に面しています。霧島屋久国立公園の一部として保護されているこの山は、登山者にも親しまれる場所です。

開聞岳の地形と特徴

開聞岳は、火山として二重式の構造を持ち、コニーデ(円錐形の火山)にトロイデ(別の円錐形が重なった形)が重なったような独特の地形をしています。山全体が豊かな樹林に覆われ、春には開聞さつきなどの美しい花々が咲き誇ります。登山道はらせん状に整備されており、登頂には登りが約3時間、下山が約2時間30分ほどを要します。頂上からの360度の眺望は、池田湖や太平洋など、周囲の絶景を一望することができます。

開聞岳の標高と位置

かつて開聞岳の標高は922.23メートルとされていましたが、2001年に国土地理院が改めて調査を行い、公式に924メートルと修正されました。登山者にとっては比較的低い山に分類されますが、海抜0メートルからの登山となるため、実際の標高差は900メートル以上となり、登山の達成感は大きなものです。

歴史的な火山活動と噴火の記録

開聞岳の火山活動は約4,400年前に始まったとされ、有史以前には頻繁に噴火がありました。特に6世紀から9世紀にかけて、VEI4規模の噴火が複数回発生し、874年と885年には大規模な噴火を記録しています。これらの噴火により、現在の二重式の山容が形成されました。

開聞岳の火山噴出物と地層

開聞岳の火山活動は、さまざまな噴出物を生み出しました。特に7世紀末頃の噴火で形成された堆積層は「青コラ」、9世紀末の噴火によるものは「紫コラ」と呼ばれています。これらの地層は、薩摩半島の広い地域で確認されており、遺跡発掘などにおいて、当時の生活や環境の変化を知るための重要な手がかりとなっています。

噴火による生活への影響

9世紀末の大噴火では、噴出物が広範囲にわたって降り注ぎ、多くの集落が壊滅的な被害を受けました。特に集落の放棄や人々の移動が行われたことが確認されており、当時の人々の生活に大きな影響を与えたことが分かっています。また、2000年12月にも微弱な噴気が観測されており、現在も火山活動の兆候が続いています。

地理的な特徴と役割

開聞岳は薩摩半島の最南端に位置し、錦江湾(鹿児島湾)を形成する大隅半島と薩摩半島の間に立地しています。その名前は「海門に通ずる」という意味を持ち、古くから海上交通における重要な目印として利用されてきました。特に、航海中の目印として「薩摩三峰」と呼ばれる開聞岳、野間岳、金峰山が重要視されていました。

開聞岳南麓の海底地形

開聞岳の南麓の海底には、幅7.8キロメートル、長さ9.3キロメートルに及ぶ馬蹄形の海底崖が存在し、多数の海底流れ山が確認されています。この海底崖は、開聞岳の山体が形成される前に発生した大規模な海底地すべりによって生じたと考えられています。現在でもこの海底崖は、地形学的な興味を引く存在となっています。

登山の楽しみと魅力

開聞岳は、日本百名山の中でも特に美しい山容を誇り、多くの登山者に愛されています。らせん状に整備された登山道は、標高差が900メートル以上あるため、比較的低い山とはいえ、登頂には一定の体力が求められます。3時間程度で山頂に達することができ、頂上からは360度の大パノラマが広がり、池田湖や東シナ海、太平洋の壮大な景色が目の前に広がります。

登山の魅力と注意点

登山道は比較的整備されているため、初心者でも楽しめますが、頂上に近づくにつれて岩場が多くなり、注意が必要です。特に風が強い日や天候が不安定な日は、十分な装備が求められます。また、開聞岳の自然環境は保護されており、登山者にはマナーを守りながら自然を大切にすることが求められます。

季節ごとの魅力

春には美しい花々が咲き誇り、夏には青々とした緑に覆われ、秋には紅葉が楽しめるなど、季節ごとに異なる表情を見せる開聞岳。冬でも雪が少なく、比較的穏やかな気候のため、年間を通じて多くの登山者が訪れます。特に早朝の登山では、山頂から美しい朝日を拝むことができ、感動的なひと時を過ごせます。

周辺のスポット

開聞駅

開聞岳に最も近いJR指宿枕崎線の駅で、徒歩で登山に向かうことが可能です。ただし、停車する列車の本数が少ないため、計画的な利用が必要です。

開聞山麓自然公園

山麓にはトカラウマが飼育され、熱帯や亜熱帯植物が見られる自然公園があります。また、山の周囲には遊歩道があり、一周することも可能です。遊歩道の途中には開聞トンネルがあります。

かいもん山麓ふれあい公園

公園内にはキャンプ場があり、自然を楽しみながら宿泊することができます。

枚聞神社

山麓にある枚聞神社(ひらききじんじゃ)は、薩摩国の一宮であり、開聞岳を神体として祀っています。神社の参道と社殿を結ぶ線の延長上に開聞岳があり、その山頂には奥宮御岳神社が鎮座しています。

池田湖

山頂から約5 km北東には、カルデラ湖の池田湖が広がっています。

望比公園

開聞岳の山麓西側の花瀬には太平洋戦争においてフィリピンで戦死した人々を慰霊する望比公園があります。太平洋戦争中、旧知覧町の陸軍飛行場から出撃した特別攻撃隊機はまず開聞岳へと進路をとり、その富士山に似た山容に故郷や家族への別れを告げながら南方へと向かったとされています。

Information

名称
開聞岳
(かいもんだけ)
リンク
公式サイト
住所
鹿児島県 指宿市 開聞十町
電話番号
0993-32-5566
駐車場
無料 200台 かいもん山麓ふれあい公園内 登山道入口 駐車場
アクセス

登山口まで
JR指宿駅から 車で30分
JR開聞駅から 車で3分/徒歩で20分

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