鹿児島県の茶業は今からおよそ800年前、金峰町阿多・白川に平家の落人が伝えたという説や、足利時代に吉松町の般若寺に宇治から茶種子を取り寄せ播いたのがはじまりという説、野田町の感應禅寺説などがある。その後は島津藩政時代に奨励されたが、本格的な茶の栽培や生産の奨励は第二次大戦後にはじまり、また今日の茶産地づくりをめざした積極的な茶業振興施策は、昭和40年頃からすすめられた。現在では日本有数の生産県であり、今後の躍進が期待されている。
知覧茶は、鹿児島県南九州市で生産されるブランド緑茶で、日本一の生産量を誇ります。2017年に「知覧茶」「えい茶」「川辺茶」が「知覧茶」に統一されました。
市町村合併により南九州市が誕生し、「日本一のお茶生産量を誇る町」となりました。現在、南九州市では3,421ha(東京ドーム727個分)の広大な茶園があり、613戸の生産者と104の茶工場が丹精込めて約11,700t(国内の約16%)の荒茶を生産しています。
南九州市は、桜島の火山灰によって作られた水はけの良い肥沃な土壌や、南太平洋の温暖な風がもたらす一年を通して温暖な気候、豊富な日照、急峻な丘陵地など、お茶の生産に最適な条件が整っています。
この好条件の環境で育てられた知覧茶の新茶は、日本一早い新茶としても知られています。また、深い味わいと極上の味と香りを引き出すために育てられ、品質面でも全国茶品評会で農林水産大臣賞を度々受賞するなど、高い評価を得ている銘茶です。
旨味を引き出す栽培方法「かぶせ茶」
知覧茶の茶畑では、お茶の葉に日光が当たると、旨み成分(L-テアニン)が増え、渋味成分(カテキン)が抑えられます。新芽を摘み取る前の1週間前後、茶園を藁や寒冷紗で覆い、日光を一定期間遮ることで、玉露同様の旨み成分の増量を図っています。
じっくり蒸した深蒸し茶
知覧茶の特徴は、「深蒸し」と呼ばれる長時間の蒸し製法です。一般的な煎茶の蒸し時間の倍近い時間をかけることで、まろやかなコクとかぶせ茶の旨味を一層引き出し、鮮やかな濃緑のお茶に仕上げます。
豊富な品種で個性豊かなお茶
お茶の生産に適した風土で、さまざまな品種のお茶が栽培されています。それぞれの品種の特徴を充分に引き出した風味豊かなお茶に仕上げるため、茶匠がその年ごとのお茶の仕上がり具合を基にブレンドしています。