伏目温泉は、鹿児島県指宿市山川福元に位置する歴史ある温泉地で、かつての薩摩国の一部として知られています。この温泉は「山川温泉」という別名でも呼ばれ、地域住民や観光客に親しまれています。豊富な温泉資源と、指宿市内に広がる観光名所の一つとしても名高い場所です。
伏目温泉は、海岸に近い場所にある温泉地で、特に「伏目海岸」と呼ばれるエリアに温泉施設が点在しています。ここでは、指宿市が運営する「山川砂むし保養施設」や「ヘルシーランド」といった公衆浴場があり、観光客が砂むし温泉を体験することができます。また、地域の老人福祉施設も併設されており、地域社会に大きく貢献している温泉地です。
特に「砂むし温泉」は、この温泉地を象徴する施設の一つです。砂むし温泉とは、温泉の熱を利用して、体全体を温かい砂で覆うという独自の温泉療法で、血行促進や疲労回復に効果があるとされています。しかし、近年の自然災害により、2021年11月23日から臨時休館中となっており、2024年4月の再開を目指して復旧工事が進められています。
伏目温泉の湯は、湧出温度が約100℃前後という非常に高温の塩化物泉です。周辺にある指宿温泉と比較しても、塩分濃度が非常に高いのが特徴です。この泉質は、肌に良い効果をもたらすだけでなく、リラックス効果も高く、多くの訪問者に人気です。また、この高温の湯は、古くから麻の加熱処理や、砂むし温泉として利用されてきた歴史も持っています。
伏目温泉の周辺には、温泉を利用した様々な施設が点在しています。前述の砂むし温泉施設に加えて、内陸部には農業に利用されている温泉も多くあります。これらの温泉は、地熱を活用した発電にも利用されており、山川発電所がその代表例です。発電所からは高温の水蒸気が上がっており、温泉上部からその様子を観察することができますが、立ち入り禁止区域も設けられているため、注意が必要です。
伏目温泉があるこの地域では、古くから海岸沿いに温泉や高温の噴気が存在することが知られていました。これらは、地域の生活の一部として利用されてきましたが、本格的な温泉地としての開発は1943年(昭和18年)に始まりました。温泉井戸が掘削され、製塩業が盛んになった時代もありましたが、1964年(昭和39年)に製塩が禁止されてからは、主に農業や観光業へと利用が転換されました。
伏目温泉へのアクセスは、鉄道や車を利用して訪れることができます。最寄り駅はJR指宿枕崎線の山川駅で、そこからタクシーで約15分ほどの距離にあります。また、鹿児島市内からもアクセスが良く、観光の際には温泉だけでなく、近隣の観光スポットも一緒に訪れることができる魅力的なロケーションです。
伏目温泉は、その豊富な温泉資源と歴史的な背景から、鹿児島県内でも特に注目される温泉地の一つです。特に、砂むし温泉は地域の観光の柱となっており、多くの人々が訪れる魅力的なスポットです。現在は復旧工事が進められており、再開後にはさらに多くの観光客を迎えることが期待されています。自然の力を感じながら、リラックスしたひとときを過ごすことができる伏目温泉は、今後もますますその価値を高めていくことでしょう。