鹿児島県 » 出水・川内・串木野

薩摩金山蔵

(さつま きんざん ぐら)

トロッコでドキドキ坑洞見学

薩摩金山蔵は、鹿児島県いちき串木野市に位置する歴史的な金山の跡地を利用した観光施設です。この施設は、かつての金山の採掘跡地や坑道を見学することができるだけでなく、焼酎の醸造や貯蔵に関する展示も楽しめる場所として、多くの観光客に親しまれています。

金山坑道跡を利用した焼酎蔵は、単なる観光施設ではなく、本物の焼酎を醸造から貯蔵まで行う特別な場所です。地上施設内には、「ほたる庵」というお食事処や「蔵乃仲見世」というお買い物処があります。坑道内の貯蔵蔵には、専用のトロッコ列車に乗って入ることができます。そしてここでは、地上施設で購入した焼酎を好みの期間だけ寝かせて、自分だけのアニバーサリー焼酎を作ることができるのが特長です。さらに、県内唯一の清酒蔵としても評判です。

テーマは『金と焼酎』で、江戸時代末期から明治期にかけて薩摩の経済を支えた金山と、500年以上の歴史を持つ焼酎文化を紹介しています。この施設は、2005年4月23日に濵田酒造が運営する形で再オープンしました。開園当初から5年間で、延べ100万人が訪れる人気のスポットとなっています。

施設の特徴

薩摩金山蔵は、見学坑道、金山資料館、焼酎蔵、レストランなど、複数のエリアで構成されています。訪れる人々は、金山の歴史や焼酎の製造工程を学びながら、地元の文化や風景を楽しむことができます。

見学坑道

見学坑道では、実際に金の採掘が行われていた坑道を歩きながら見学することができます。坑道内は当時のままに再現されており、採掘の様子や作業環境をリアルに体感することができます。案内ガイドによる説明も行われており、金山の歴史や採掘技術について詳しく学ぶことができます。

金山資料館

金山資料館では、薩摩金山の歴史や採掘に使用された道具、当時の写真などが展示されています。資料館内の展示物を通じて、金山での生活や労働の様子を知ることができます。また、金の精錬方法や金の価値についても学ぶことができる展示がされています。

焼酎蔵

薩摩金山蔵には、焼酎の製造工程を見学できる焼酎蔵があります。地元で生産されたさつまいもを使った焼酎が製造されており、その製造過程を見学することができます。また、貯蔵庫では、焼酎が熟成される様子を見ることができます。試飲コーナーも設けられており、実際に焼酎を味わうこともできます。

歴史と背景

薩摩金山蔵は、江戸時代から昭和初期にかけて金の採掘が行われていた薩摩金山の跡地を活用して設立されました。金山は、一時期は日本有数の金の産出量を誇り、多くの人々がこの地で採掘活動に従事していました。採掘が終了した後、金山の歴史と文化を保存し伝えるために、観光施設として再開発されました。

薩摩金山蔵は、元々2003年9月に閉園した「ゴールドパーク串木野」の跡地に、市の要請を受けて濵田酒造が再開したものです。施設のデザインは、前身のポストモダンなスタイルから一新され、和の趣が取り入れられました。これは、薩摩の歴史と文化をより強調するためのものであり、訪れる人々に薩摩の伝統と精神を感じさせるための工夫です。

観光坑道と坑内醸造所

薩摩金山蔵の魅力の一つは、串木野鉱山の西山坑を観光用に改装した観光坑道です。この坑道は、かつてゴールドパーク串木野で使用されていた全長700メートルのトロッコ列車を再利用しています。トロッコ列車は、プラットホームや周囲のデザインを変更し、訪れる観光客に新しい体験を提供しています。

坑道内の焼酎熟成と醸造

坑道の一部は、焼酎の長期熟成貯蔵庫として活用されており、1000リットルの容器に原酒が収納されています。また、「お預かり焼酎」と呼ばれる、一般顧客からメッセージ付きで焼酎を預かるサービスも提供されており、このサービスはゴールドパーク串木野の時代から続いています。さらに、坑道内には醸造設備が設置されており、伝統的な甕仕込みの工程や焼酎製造に関する展示が行われています。

醸造技術と伝統

薩摩金山蔵では、通常の二次仕込み法ではなく、江戸時代から伝わる「どんぶり仕込み」という独自の方法を採用しています。この方法では、米麹に水と酵母を加えた後、サツマイモを同時に仕込むという手法が取られています。さらに、蒸留装置も江戸時代以前に使用されていたカブト釜式蒸留器を新たに復元し、古式焼酎作りに活用しています。2005年には、3名の女性杜氏が新たに採用され、女性ならではの感性を活かした焼酎作りに挑戦しています。

屋外設備

薩摩金山蔵の敷地内には、さまざまな施設が点在しています。小川の流れに沿って設置された食事処『ほたる庵』、焼酎と関連商品を販売する『蔵の仲見世』、ラベル貼り場や試飲コーナーなど、訪れる人々を楽しませるための設備が整っています。また、トロッコ列車のプラットホーム前には、串木野金山時代の資料や模型が展示されています。

杜氏の湯

かつて敷地内には、金鉱洞からの鉱泉水を利用した『杜氏の湯』という入浴施設がありましたが、2010年6月に「本格的仕込蔵建設のため」に閉鎖されました。

日本酒の醸造

2012年から、薩摩金山蔵では『薩州正宗(さっしゅうまさむね)』という銘柄で清酒の醸造を開始しました。鹿児島県内での日本酒の醸造は、1972年以来40年ぶりのことです。この新たな挑戦は、得られた技術を焼酎作りに活かすためでもありました。蔵元では、1996年から中部地方の蔵元で研修を行い、微生物管理やもろみの管理について学んできました。薩州正宗は、濃厚な味わいの純米酒と、フルーティーな味わいの純米吟醸酒の2種類が製造されています。

金山の遺構

薩摩金山蔵の南側の山中には、串木野金山時代の遺構が残されています。これらの遺構は、鉱山軌道に沿って海岸近くまで続いており、発電所や排水場、インクライン設備、トンネルなどが見られます。これらの遺構は、当時の産業遺産として保存されています。

アクセス

薩摩金山蔵へのアクセスは以下の通りです。

JR九州を利用する場合

車を利用する場合

所在地:鹿児島県いちき串木野市野下13665

まとめ

薩摩金山蔵は、金山の歴史と文化、そして焼酎の製造工程を学びながら楽しむことができる貴重な観光施設です。美しい自然環境とともに、歴史の一端を感じることができるこの場所を、ぜひ一度訪れてみてください。

Information

名称
薩摩金山蔵
(さつま きんざん ぐら)
リンク
公式サイト
住所
鹿児島県 いちき串木野市 野下13665
電話番号
0996-21-2110
営業時間

10:00~17:00
※現在、土日祝日のみの営業

定休日

平日

料金

入場無料

坑洞内焼酎仕込蔵・貯蔵庫見学
大人 720円
子供 3歳から12歳 310円

アクセス


・JR串木野駅より約10分
・南九州自動車道「串木野インター」下車、国道3号線を川内方面へ約10分
・鹿児島空港から約60分

バス
・JR串木野駅より路線バスで川内方面へ。「野下口」下車、徒歩約5分

出水・川内・串木野

鹿児島県