鹿児島県の奄美群島に位置する徳之島。その徳之島にある伊仙町は、「長寿と闘牛の町」として知られています。泉重千代氏や本郷かまと氏といった世界最高齢者の出身地であり、町の豊かな自然と伝統文化は訪れる人々を魅了します。
伊仙町は、徳之島の南西部を行政区域としています。町の大部分は徳之島の山地部から外れており、徳之島3町の中で最も耕地面積率が高い地域です。しかし、主に琉球石灰岩地域にあり、水利条件があまり良くないとされています。町内には多くの鍾乳洞があり、その中で最も大きいとされるのが銀河洞(2052m)です。また、地形的には河川が深い谷を刻みながら地下に潜る「ドライバレー群」と呼ばれる特徴的なカルスト地形があります。
犬田布岬は、伊仙町の最西端に位置する岬で、琉球石灰岩の海蝕崖が特徴的な景観を作り出しています。緑豊かな芝生が広がり、その先には青く輝く海と空が見事に調和しており、奄美十景の一つにも選ばれています。また、ここには、戦艦大和を旗艦とする第2艦隊・海上特別攻撃隊の戦没者慰霊塔が建立されており、歴史の一端に触れることができます。
瀬田海海浜公園は、透明度の高い青い海が広がる美しいビーチが特徴です。家族や友人と一緒にバーベキューやキャンプを楽しむのはもちろん、ビーチで見る夕陽は非常に美しく、ロマンチックな雰囲気を醸し出しているため、カップルにもおすすめのスポットです。白い砂浜と青い海、そして夕日に染まる空の美しい景観は、訪れる人々の心に深く刻まれます。
徳之島なくさみ館は、島内で最も大きな闘牛場であり、年間約20回もの闘牛大会が開催されます。重さ1トンを超える牛同士の激しいぶつかり合いは迫力満点で、場内は観客の熱気と歓声で包まれます。ここでは、闘牛に関する資料や徳之島の文化を紹介しており、島の伝統的なスポーツである闘牛の魅力を学ぶことができます。
喜念浜海岸は、約2kmにわたって美しいサンゴの海岸が続くビーチです。白い砂浜と青い海が織りなす美しい景観は、訪れる人々を癒し、また、アダンの群生やモクマオウの林なども見られ、自然の豊かさを感じることができます。さらに、朝夕には闘牛が散歩する様子を目撃することもあり、徳之島ならではの風景を楽しめます。
小原海岸展望台は、犬田布岬から続く断崖絶壁の絶景を楽しめるスポットです。東シナ海を一望できるこの展望台からは、息を呑むような雄大な景色が広がり、訪れる人々を感動させます。また、近くには3万年以上前の旧石器時代の遺跡が発見されており、徳之島が古くから人々の営みがあったことを物語っています。
明眼の森自然公園は、ウォーキングや自然散策が楽しめる遊歩道が整備された自然公園です。2013年に国指定天然記念物に指定され、パワースポットとしても親しまれています。公園内には徳之島固有のリュウキュウマメガキやリュウキュウマツが生い茂り、自然観察を楽しみながら散策することができます。また、明眼神社もあり、心静かに自然と対話できる場所です。
ミヤドバルの洞窟と塩田は、古くから塩作りの場として知られています。自然石の潮溜まりを削りならして作られた広大な潮の干場があり、洞窟内には鍋底形の塩溜まりが多数見られます。ここでは、自然の力を利用して塩を作り出してきた歴史を感じることができ、訪れる人々にその古の知恵と技術の奥深さを伝えます。
犬田布騒動記念碑は、1864年に起きた犬田布騒動を記念して建立された碑です。薩摩藩の過酷な砂糖政策に対する反乱として、犬田布地区の農民約150名が立ち上がりました。無実の罪で拷問を受けた為盛の悲劇をきっかけに、一揆が起こされ、その事実を後世に伝えるために、100年祭を機に建立されました。この記念碑は、徳之島の歴史と人々の抵抗の意志を今に伝えています。
阿権300年ガジュマルは、伊仙町阿権地区にある樹齢300年といわれるガジュマルの巨木です。この木には、ケンムン(精霊)が宿るとされ、地域の人々にとって神聖な存在となっています。ガジュマルはその独特な枝ぶりと根の形状から、まるで一本の小さな森のような迫力を持ち、訪れる人々を圧倒します。伊仙町を訪れた際には、この神秘的な巨木をぜひご覧ください。
徳之島カムイヤキ陶器窯跡は、1983年に発見された徳之島の歴史的な遺跡です。現在までに7箇所の窯跡が確認されており、「カムイヤキ」という名前は最初に発見された「亀焼」の方言に由来します。この窯跡からは、中世の徳之島で焼かれた陶器の破片などが出土しており、徳之島の歴史と文化を感じさせます。
泉重千代翁銅像は、昭和51年に長寿世界一として認められた泉重千代氏を記念して建てられた銅像です。伊仙町阿三で生まれ育った泉氏の功績と長寿を称えるため、昭和57年に建立されました。観光客は、この銅像を訪れ、長寿と健康を祈願することが多いです。
伊仙町歴史民俗資料館は、伊仙町の歴史と文化を紹介する施設です。館内には、農具や生活道具、徳之島に関する貴重な資料が展示されており、訪れる人々に地域の歴史や風土を学ぶ機会を提供しています。また、闘牛の歴史や文化に関する資料も展示されており、徳之島の伝統的な文化を感じることができます。
伊仙町の主要な農産品は、サトウキビ、ジャガイモ、カボチャ、徳之島牛と呼ばれる肉用牛、豚などです。
伊仙町では、現在の鹿児島県道83号伊仙天城線島権大橋付近にある「アマングスク遺跡」にて、約3万年前の旧石器が発見されています。町内には他にも多くの貝塚があります。
1983年に発見された「カムィヤキ遺跡」は、南島考古学史上最大級の発見とされ、2006年には国指定の史跡となりました。この遺跡からは、中世において南西諸島全域から九州本土の一部にかけて須恵器に似た「類須恵器」と呼ばれる陶器が徳之島で生産されていたことが示されています。
最寄りの空港は天城町にある徳之島空港で、空港から伊仙町に直接行くバス路線はありません。最寄りの港は徳之島町にある亀徳港で、天城町の平土野港も利用可能です。
徳之島総合陸運が主に県道80号・83号線を経由して徳之島町、伊仙町、天城町の3町の中心部を結んでいます。バスは亀津から大船住宅、亀徳新港、バスセンター、徳之島病院、喜念、面縄、伊仙町役場、鹿浦、犬田布、河地、西阿木名、瀬滝、平土野まで運行されます。
伊仙町は、自然と歴史、文化が織り成す魅力に満ちた町です。訪れる人々は、美しい景観と温かい人々のもてなしに癒され、心に残る旅の思い出を作ることでしょう。ぜひ、伊仙町の豊かな自然と文化を体験しに訪れてみてください。