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種子島宇宙センター

(Tanegashima Space Center)

種子島宇宙センターは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の種子島に設置し、運用している大型ロケットの射場を中心とした施設群から成る事業所です。このセンターは、主に日本の宇宙開発の基盤を支える施設として、数多くのロケット打ち上げを行ってきました。

種子島宇宙センターの概要

種子島宇宙センターは、1966年に科学技術庁宇宙開発推進本部により設立が決定され、その後1969年に宇宙開発事業団(NASDA)に引き継がれて開設されました。1968年には既に小型ロケットの打ち上げが行われるなど、早い段階から実績を積んでいます。面積は約970万平方メートルに及び、種子島南部の太平洋に面した地域に位置しています。

施設の位置と環境

種子島宇宙センターは、種子島の南端、南種子町の竹崎と吉信崎に囲まれた湾に面しており、3つのロケット発射施設を有しています。この施設群は、豊かな自然に囲まれており、発射台はサンゴ礁に囲まれた岬の突端に設置されています。この美しい景観から、「世界一美しいロケット基地」とも称されることがあります。

射場選定の経緯

種子島宇宙センターの射場が選定された理由は、複数の条件を満たしていたためです。まず、東南方向へのロケット発射に対して陸海空の安全が確保できること、次に日本国内で可能な限り赤道に近い場所であることが求められました。また、用地面積の確保が容易であり、土地の造成がしやすいこと、通信・電力・水源の調達が可能であること、そして交通の利便性が高く、人口密集地から離れていることなども考慮されました。

射場選定の背景

射場選定当時、日本の最南端に位置する小笠原諸島は1968年に日本に返還されたばかりで、さらに沖縄返還も実現していない状況でした。そのため、種子島が日本国内での最適な射場候補となりました。

主なロケット打ち上げ実績

液体燃料を使用する日本の主力ロケットは、ほぼすべて種子島宇宙センターから打ち上げられており、2023年1月末時点で、累計で多くのロケットが打ち上げられています。主なロケットの打ち上げ実績は以下の通りです。

Jシリーズ

J-Iロケット:1機

Nシリーズ

N-Iロケット:7機

N-IIロケット:8機

Hシリーズ

H-Iロケット:9機

H-IIロケット:7機

H-IIAロケット:50機

H-IIBロケット:9機

その他のロケット

小型ロケットや試験用ロケットなども多数打ち上げられており、2023年1月末時点での総打ち上げ実績は96機に達しています。

商業打ち上げ競争力の課題

かつて、JAXAと地元漁業協同組合との協定により、年間のロケット打ち上げ期間が制限されており、これが商業打ち上げの競争力に影響を与えていました。しかし、2011年以降は通年打ち上げが可能となり、一定の改善が図られました。

また、種子島宇宙センターは北緯30度に位置するため、静止衛星の打ち上げ時には、他の低緯度に位置する射場と比較して、ロケットの積載能力や打ち上げ効率に影響を及ぼす点が課題となっています。しかし、H-IIAロケットの高度化改良により、衛星への負担は軽減されました。

その他の課題

種子島空港には長大な滑走路がなく、大型の商業衛星を輸送する航空機の着陸が困難です。そのため、北九州空港や中部国際空港を経由して衛星を輸送する必要があり、これが国際的な競争力において不利な要因となっています。

打ち上げ作業の流れ

人工衛星は島間港に陸揚げされた後、種子島宇宙センターへと輸送されます。そこで、各種組み立て作業や点検が行われた後、ロケットに搭載され、打ち上げ準備が整います。打ち上げ前には、詳細なチェックが行われ、万全の態勢で打ち上げが実施されます。

打ち上げ施設

打ち上げは、3つの主要な射場で行われ、それぞれの射場は異なる種類のロケットに対応しています。これにより、多様なミッションに対応できる柔軟性を持っています。

種子島宇宙センターは、50年以上にわたり日本の宇宙開発を支えてきた重要な施設です。その美しい環境と高い技術力により、世界的にも注目されるロケット打ち上げ基地として、今後も多くのミッションを成功させることが期待されています。

Information

名称
種子島宇宙センター
(Tanegashima Space Center)

種子島

鹿児島県